「少し値段を下げてもらえませんか」
フリーランスで仕事をしていると、こういう言葉が来ることがあるかもしれません。見積もりを出した後に値引きを求められたとき、どう対応すればいいか迷うことがあると思います。
断ったら仕事を失うかもしれない。でも受け入れると条件が悪くなる。そのはざまで判断に迷う人は少なくないと思います。
この記事では、値引き交渉をされたときに私がどう考えているかをお伝えします。
迷いが生まれる本質的な理由
値引き交渉をされたとき、すぐに判断できないのは「この案件を失いたくない」という気持ちが先に立つからだと思います。
案件を探し続けることへの疲れ、今月の売上への不安、相手との関係を崩したくないという気持ち。そういったものが重なると、「少し値下げしてでも受けた方がいいのかな」という気持ちになりやすいです。
でもそこで立ち止まって考えてほしいのは、その判断が「自分にとって本当にいい選択か」ではなく、「相手に嫌われたくない」「この案件を失いたくない」という感情から来ていないか、ということです。
感情に引っ張られた判断は、後から後悔しやすいと思います。値引きに応じて仕事を受けた後、「やっぱり条件が悪かった」と気づいても、その時点では手遅れです。
交渉をされたとき、一度冷静になって「なぜ自分が迷っているのか」を考えてみることが大事だと思います。
基本スタンス:まず「断る」を前提に考える
値引き交渉をされたとき、私の基本的なスタンスは「断る」です。
提示した金額には、自分の時間・スキル・これまでの経験のコストが含まれています。それを値引きするということは、そのどれかを削ることになります。値引きに応じることで作業の質が下がったり、モチベーションが落ちたりするなら、結果的に誰の得にもならないと思います。
また、値引きに一度応じると「この人は値引きできる人だ」という印象を与えてしまうことがあります。次の案件でも同じことが繰り返される可能性がありますし、「もう少し下げてもらえませんか」という交渉が続く関係になってしまうこともあります。
それに、自分が設定した金額に根拠があるなら、それを守ることは当然だと思います。「この金額でやります」と言える状態で仕事をする方が、モチベーションも維持しやすいし、成果物のクオリティにも影響すると思います。
値引き交渉をされたとき、まず「断る」という前提で考える。これが基本だと思っています。
受け入れていい条件もある
ただ、すべての値引き交渉を機械的に断るべきだとは思っていません。
お金以外の価値が自分にとって本当にある場合は、受け入れることを検討してもいいと思います。
ひとつは、制作した作品の実績公開を許可してもらえる場合です。ポートフォリオに使える素材が増えることは、今後の営業に直結します。特にフリーランス初期は実績が少なく、ポートフォリオを充実させることが次の案件獲得につながるため、金額よりも実績公開の方が価値が高いと判断できる場面があります。金額が少し下がっても、そのトレードオフに納得できるなら受け入れる余地はあると思います。
もうひとつは、大きな学びが得られる案件の場合です。自分がまだ経験したことのない分野の仕事で、スキルアップに直結すると感じるなら、通常より低い金額でも経験として考えることができます。スキルを身につけることが今後の単価を上げることにつながるなら、投資として考えることもできると思います。
重要なのは、「相手に言われたから仕方なく」ではなく、「自分がそれに本当に納得できるかどうか」という基準です。
私自身、自分から値上げの交渉をした際に、相手から妥協案を提示されたことがあります。最終的に受け入れたのは、提案された条件を聞いて「それなら自分として納得できる」と感じた場合だけです。納得できない条件の場合は、丁寧にお断りしています。「仕方なく」受け入れる選択は、自分の仕事への向き合い方を少しずつ崩していくと思っているので、そこは妥協したくないと思っています。
断るときの伝え方
断ることを決めたとして、どう伝えるかも大事だと思います。
「値引きはできません」と一言で終わらせるより、なぜその金額なのかを簡単に説明した上でお断りする方が、相手にとっても納得感があると思います。「この金額には作業時間や準備のコストが含まれており、これ以上下げると品質に影響するため、ご要望に添えません」という形で伝えることで、自分の金額に根拠があることを示せます。
感情的にならず、丁寧に、でも明確に断ることが大事だと思います。「考えてみます」「また連絡します」という曖昧な返し方は、相手に期待を持たせてしまうため避けた方がいいと思います。断るなら、その場で明確に伝える方が双方にとって親切だと思います。
また、断った後に「もし条件が変わった場合はご連絡ください」と添えておくことで、関係を完全に断ち切らずに済む場合もあります。すべての交渉が決裂で終わる必要はなく、今回は合わなかっただけで、次の機会に繋がることもあると思います。
断って相手が怒るなら、それがわかってよかった
値引きを断ったとき、相手が怒ったり、急に態度が変わったりすることがあります。
そういう反応が返ってきたとき、「断って正解だった」と思うようにしています。
正当な金額を提示して、それを断ったときに感情的になる相手とは、長期的にいい関係を築くのは難しいと思います。値引きに応じてその案件を受けていたとしても、その後の仕事の進め方や追加作業の扱い、支払いの問題など、別のところで同じような問題が出てくる可能性が高いです。
最初の交渉の段階で「この相手とは合わない」とわかることは、むしろよかったと考えましょう。後から問題が起きるより、早い段階でわかった方がダメージが少ないです。
怒られることへの恐れが判断を歪めないようにすることが大切だと思います。「断ってはいけない」ではなく、「断ってもいい」という認識を持っておくことの方が、フリーランスとして長くやっていく上で重要だと思います。
1つの案件に固執しない
値引き交渉に悩みやすい状態のひとつに、「この案件を失ったら次がない」という感覚があると思います。
でもこれは視野が狭くなっているサインだと思っています。目の前にある案件は、世の中にある案件のひとつに過ぎません。条件の合わない案件を無理して受け続けるより、自分の条件に合う案件を探し続ける方が、長期的には自分の仕事環境を良くしていけると思います。
1つの案件に固執すると判断が歪みやすくなります。「この案件がダメでも次がある」という感覚でいられる状態を作っておくことが、交渉での判断をクリアにすると思います。
そのためにも、常に複数の案件に当たっておくことや、自分の単価を維持・向上させていける営業の仕組みを作っておくことが大事だと思います。「この1件を失ったら終わり」という状態では、どうしても判断が相手寄りになってしまいます。
値引き交渉に自分の軸で向き合えるようになるためには、案件の選択肢を常に持っておくことが一番の準備だと思っています。
まとめ
値引き交渉をされたときに考えるべきことを整理すると、こうなります。
まず「断る」を前提に考える。受け入れるのは、実績公開や大きな学びなど、お金以上の価値があって自分が本当に納得できる場合だけ。断るときは丁寧に、でも明確に。断って相手が怒るなら早めにわかってよかったと考える。1つの案件に固執せず、次を探す選択肢を常に持っておく。
値引き交渉は、相手との関係性やその案件の本質が見えやすい場面でもあります。感情に流されず、自分にとって本当にいい選択は何かを基準に判断してほしいと思います。
「断ること」に慣れていくことで、自分の仕事の価値をちゃんと守れるようになると思います。最初は勇気がいるかもしれませんが、断った後の方がすっきりするケースの方が多いと感じています。
値引き交渉を正しく判断していくためには、そもそも「どんな案件を選ぶか」という基準が重要になります。最初から条件の悪い案件を引き受けないための考え方については、こちらのnoteにまとめています。興味がある方はチェックしてみてください。
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